自家製クオンツ

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デイトレード マーケットで勝ち続けるための発想術

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この本は監訳者の林康史さんの言葉から紹介した方が良いでしょう。

 

  • 本書はオリバー・ベレスとグレッグ・カプラの『TOOLS AND TACTICS FOR THE MASTER DAY TRADER』の翻訳である。ただし、全訳ではなく、前半の部分訳である。原書の主要部分は2部で構成されている。第1部は、デイトレーダーとしての心構えを説いたものであり、本書は第1部の全文訳である。第2部は第1部を受けて、デイトレーダーとしてのスキルについて記述している。

 

原書の第2部は割愛されているため、本書はオリバー・ベレスとグレッグ・カプラによる「デイトレーダーとしての心構え」の本であると言えそうです。

 

また、確かに比較的短い時間軸の投資に対するアドバイスが多いものの、他の時間軸の投資家にとっても参考になる金言がたくさんあります。

 

今回は、本書のなかでも特に印象に残った3点を紹介したいと思います。

 

バンドワゴン効果

 

  • 耳に心地よい音楽がバンドワゴンのスピーカーから流れてきてはいるが、バンドワゴンの後ろについて思う存分楽しんで盛り上がっているのはごく少数の人々である。音楽は大きな音で鮮明に鳴り響き、沿道にいる傍観者たちを次第に引きつけて行く。

  • 傍観者たちが次々とバンドワゴンの後ろに参加していくなかで、当初パーティーの始まりを楽しんでいた人々は離れて行く。

  • バンドワゴンの進行速度は徐々に遅くなり、陽気な騒ぎを見物していた傍観者のさらなる参加を可能にする。

  • やがてバンドワゴンは完全に停止する。バンドワゴンが全く動かなくなると、さらに群衆が膨らんでいく。

  • バンドワゴンは何とかこの重荷を振り払わなければならない。そう、バンドワゴンはバックし、数人をなぎ倒すのである。

  • この最後のバックはあまりにも荒々しく、最後までバンドワゴンにしがみついていた人々は振り落とされ、 地面に叩きつけられ重症を負ってしまう。この時点で新たな傍観者の一群がどこからともなく現れる。

  • 彼らは誰なのか。その新しく見える一群は決して新しい顔ぶれなのではなかった。その一群はパーティーが荒れ狂う前に静かにその場を離れていった人々だったのである。

 

バンドワゴン効果は経済学、政治学等で指摘されている効果です。著者らは、短期トレードの比喩としてバンドワゴン効果を持ち出していると思われますが、キャピタルゲインを狙ったすべての投資、投機の理想型ではないでしょうか。

 

事実は利益にならない

 

  • 実際に起こった事象が株価を勤かすことはほとんどない。投資家が総体として事実をいかに認識するかが現実なのであり、 株価を動かす真の力なのである。

  • 最終的に、株価を動かすのは人問であり、人間の感じ方や感情が問題なのである。

  • 次に示す事実を決して見失ってはならない。我々は、株ではなく、人間を取引するのである。

 

 

事実ではなく、それを他の投資家がどう捉えるかを見よ、ということですね。著者らは、ほぼ同等のことを次節でも説いており、本書でも特に主張したことの1つなのではないかと思います。

 

  • これが真のプロが噂(認識)に基づいて買い、 ニュース(事実)に基づいて売る理由である。

 

前述のバンドワゴン効果で言えば、事実が出たとき、「当初パーティーの始まりを楽しんでいた人々」は既にいないということなのでしょう。

 

敵を知る

 

  • どういうわけか、たいていのトレーダーは、なんとなくマーケッ ト全体から株式を買っていると思い込んでいる。彼らは、どこかに株券の山が積んであって、自分たちが買おうとしている銘柄は自由に手当てができるとでも思っている。

  • 株式を買う時は、それは誰か別の人から買っているのである。株式を売る時は、誰か別の人がそれを買っていくのだ。

  • その誰かが何を考えているのか、動機は何か、考え方や感じ方はどうか、そしてその時の感情はどのようなものなのか

 

マーケットに参加していればこんなことは当たり前なのですが、私が本書を読んだのは投資を本格的に始める前だったこともあり、特に印象的でした。

 

自分が買うとき、他の投資家も株価は上がると思っているわけではなく、まるで反対の思惑を持っている投資家から買うことになります。その意味をよく考えよ、ということですね。当時の私は、難しい命題を突き付けられたように思ったものです(汗)。