自家製クオンツ

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入門 株のシステムトレード 利益が出るロジックのつくり方【4/4】

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最終回は、 第5章「システムの改良でパフォーマンスをアップ」で紹介されている、「過去の成績が良かった銘柄のみを売買対象とする」の検証と全体のまとめです。

 

過去の成績がプラスだった銘柄のみ抽出

 

逆張り型売買ルール」で、まずは1990年3月1日~1999年12月末までの成績がプラスだった銘柄を抽出します。それらのみで行った、2000年初め~2010年11月16日までのバックテストの資産曲線は下図のとおりです。

 

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これに対し、「MagicalNuts」で2001年1月1日~2010年12月31日までの成績がプラスだった銘柄で行った、2011年1月1日~2020年12月31日までの資産曲線は下図のようになりました。

 

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逆張り型の売買ルールは、2011年代に破産を免れないようです…。

 

この検証は、過去に成績の良かった銘柄はその後悪化し、過去に成績の良かった銘柄は良化するという平均回帰の考え方と相性が悪いのではないかと思い、過去に成績の「悪かった」銘柄でも試してみました。(純粋な株価の話ではないので、若干無理矢理ではあるのですが…。)

 

また、この検証は銘柄の抽出に10年、バックテストに10年を使用しています。主観的な判断になりますが、これも平均回帰としては少々長いのではないかと思い、5年ずつに短縮しました。その資産曲線が下図です。

 

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コロナショック後に急回復するものの、安心して資金を預けることは難しそうですね。

 

まとめ

 

本書には、私が紹介したもの以外にも、「逆張り型の売買ルール」「順張り型の売買ルール」「押し目買い型の売買ルール」を発展させた手法が紹介されています。

 

ただ、これまで検証した売買ルールのうち、シグナル数フィルターを用いた逆張り型の売買ルール以外のパフォーマンスがあまり芳しくなかったため、本書にヒントを得た検証はここで中断することにしました。

 

システムトレードのバックテストでは、パラメーターや条件を少し変えただけで結果が大きく変わることがあります。こういったシステムトレードの難しさは常に意識しておく必要があると改めて思いました。

 

初回の繰り返しとなりますが、本書は売買ルールの「基礎」や「考え方」を紹介しているまでで、これらに高パフォーマンスを求めるものではないと考えています。

 

本書で紹介されている手法は、ウォークフォワード分析等、堅牢性を試すテストをくぐり抜けたものではないでしょうし、公開されてしまえばパフォーマンスは落ちるのが普通です。また、(当然気をつけているものの…)そもそも私の実装に誤りがある可能性も否めません。

 

それでも、こうしていくつかの検証を行ってきた目的は、「MagicalNuts」の機能拡充にあります。

 

システムトレードソフトでは、1つのバックテストの売買対象銘柄は1つであることが多いです。「システムトレードの達人」の複数銘柄を売買対象とすることができる機能は非常に魅力的で、これを「MagicalNuts」に導入できたことは、今後の検証にとって大きなプラスであるものと思います。

 

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投資アイデアを思いついたらすぐに検証できる。私は、「MagicalNuts」をそのような投資検証プラットフォームに育てていきたいと考えているので、今後も各所からヒントをいただき、貪欲に今回のような開発や検証を続けていきたいと思います。