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ウォール街のモメンタムウォーカー〔個別銘柄編〕【3/6】

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第3回です。本書の論調は、バリュー投資家がモメンタム投資のエッジを認めて取り入れていく、というものです。
 

バリュー投資とモメンタム投資

 

まずは、バリュー投資とモメンタム投資の関係から。

 

  • バリュー投資とモメンタム投資は同じ行動バイアスのコインの表裏一体の関係にあるということである。

  • バリュー投資の場合、この予測エラーは大概の場合はネガティブなニュースに対する「過剰反応」として現れる。一方、モメンタム投資の場合、予測エラーは意外にもポジティブなニュースに対する「過小反応」(過剰反応と言う人もおり、これは否定できないが、大概は過小反応としてとらえられることが多い)ととらえられることが多い。

 

これは初見だとわかりにくいかもしれませんので、もうひとつ。

 

  • バリュー投資のエッジ、短期的なファンダメンタルズが悪いことによる悲観主義で特徴づけられることが多い。そのため、株価は将来の期待に対して安すぎることになる。そして、モメンタム投資のエッジは、おそらくは短期的ファンダメンタルズが強すぎることに対する悲観主義で説明できる。そのため、将来に期待できる株価に対して安すぎる状態が継続するのである。

 

私なりにまとめておくと、「株価下落が行き過ぎた」という行動バイアスを利用するのがバリュー投資、「株価上昇が不足している」という行動バイアスを利用するのがモメンタム投資、といったところだと思います。

 

そして、

 

  • ポートフォリオの構築では、バリューシステムとモメンタムシステムの組み合わせを使うことでパフォーマンスを上げることができる。

 

ということなのですが、その理由の前に、モメンタム投資の長期パフォーマンスを見ておきましょう。

 

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上表のとおり、長期間に渡るバックテストにおいて、モメンタム株はバリュー株、成長株、株価指数を大幅にアウトパフォームしています。

 

では、モメンタム投資1本で良いではないかと思うところですが、本書では、

 

  • モメンタム戦略は危険すぎるのだ。

 

という言葉とともに、下表を挙げています。

 

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例示されているのはリーマンショック時ですが、言いたいことは、他の投資法や株価指数を大幅にアンダーパフォームする時期が必ずやってくる、ということでしょう。

 

そこで、バリュー戦略とモメンタム戦略の結合を提唱しているわけですが、それが機能するのは、

 

  • さらに、研究者は、モメンタム投資はバリュー投資と比較的無相関なので、分散化効果が得られることも見いだした。

 

というように、バリュー投資とモメンタム投資の相関性が低いことを理由として挙げています。

 

最後に、第4章「バリュー投資家がモメンタムを必要とするわけ」のまとめの中の抜粋と、バリュー投資、モメンタム投資を組み合わせたポートフォリオの1974年1月1日から2014年12月31日 までのパフォーマンスを掲載しておきます。

 

  • バリュー戦略もモメンタム戦略もそれぞれにメリットはあるが、これら2つを組み合わせることで、バリュー戦略のメリツトもモメンタム戦略のメリットも享受することができる。バリュー戦略とモメンタム戦略の相関は低く、このため、グローバルなコンボポートフォリオを構築することで、長期アクティブ投資家は長期にわたってパッシブな時価加重指数を打ち負かすための解決策を得ることができる。

 

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