
第3回です。本書の主旨はインデックス投資を勧めることにあります。
インデックス・ファンドはドリーム・チーム
- インデックス・ファンドは、面白くもおかしくもないが、とにかく結果が出る。
まずは、インデックス投資のメリットを見ておきましょう。
- 相対的に高いリターン……長期的に見て、全体の80%のアクティブ・マネジャーは市場平均に勝てず、どのマネジャーがトップ20%かを事前に見つけるのは、ほとんど不可能だ。
- 低コス卜……運用報酬と管理費用は、年率で0.1%(一般のアクティブ運用では1~2%)。1年間でポートフォリオの1割程度しか売買されないため、売買手数料が低い(アクティブ・ファンドでは、毎年ポートフォリオ全体が入れ替わる)。さらにマーケット・インパク卜(自ら買いに出たことによる値上がり、売りによる値下がり効果)も低い。毎年の実現益も少ないから、税金も少なくてすむ。
- 便利……あまり運用実績を管理する必要もない。
- 不安や後悔を感じなくてすむ……相場動向や投資戦略、マネジャー選択といった判断をする必要もなく、特定個別銘柄への投資割合も低いので、さらに致命的なミスを犯す心配もない。
- 運用目的、長期投資方針といった最重要課題にだけ専念できる
私にとっては、4つめの「不安や後悔を感じなくてすむ」の効果が大きいと感じています。個別銘柄への投資は「判断」が必要になります。その際に、どうしても不安は感じますし、その判断が間違っていたことが判明すれば後悔してしまうものだと思います。
インデックス投資は、より高いパフォーマンスへの誘惑と暴落時の恐怖を感じることはあるものの、精神的には比較的楽な投資手法でしょう。
本書の著者チャールズ・エリスは、インデックス・ファンドを買うことは「ドリーム・チーム」に投資することと言います。
- 「ドリーム・チーム」を選ぶとしたら、どんなメンバーがふさわしいだろうか、ウォーレン・バフェットはまず入るだろう。チャーリー・マンガーも間違いない。ピーター・リンチとフィデリティのファンド・マネジャー・チーム、キャピタル・グループの運用専門家たち。ジョージ・ソロスや、全米トップのヘッジファンド・マネジャーたちもいいだろう。
錚々たるメンバーが入っていますね……。
- せっかくだから、ウォール街のトップ・アナリストを全部加えよう。メリルリンチ、ゴールドマン・サックス、モルガン・スタンレーからそれぞれ250人ずつ、クレディ・スイス、UBS、ドイツ銀行のアナリストもだ。
- 仮に、このような夢が現実になり、全米のトッププロが皆、あなたのスタッフになったとしよう。あなたはただ、スタッフの提言を黙って受け入れていればよい
- インデックス・ファンドを買うことは、投資の「ドリーム・チーム」の総意を結集したのと同じ意味を持つ。
個人投資家が入っていないのは、
- 今日においては、ニューヨーク証券取引所(NYSE)の売買高の95%以上は機関投資家によるものだ。
という事実に因ります。このような「ドリーム・チーム」に投資することによって、
- 長期的に見れば、80%のプロの運用機関よりも、そして個人投資家と比べればはるかに高いリターンを得ることができるはずである。
という結果が得られると言います。また、コア・サテライト運用等、投資の選択肢が広がるメリットにも言及しています。
- インデックス・ファンドは投資家に多くの選択肢を与える。そもそも何もしなくても、マーケットの動きについていくことができる。そして自分の気の向いた時にだけ、気の向く時間だけ、さらにポートフォリオのうち、自分がその時に売買したい銘柄についてだけ、アクティブにプレーすればよい。